はじめに
株式会社ナイスコーポレーションは、2023年4月5日をもって、社会・環境を主とした、社内外の様々なステークホルダーに対し配慮と貢献を行っている企業の証である、B Corpとして認証されました。
取得から約2年が経過した現在、人手不足や原材料高、小ロット化といった業界の課題はその存在感を増しており、従来のアパレルOEM業を存続していくためには、乗り越えなければならないハードルが数多くあります。
その中で、B Corp基準に則った取組に加え、海外展示会への出展や、アパレルに特化したオーガニック認証の取得等にも挑戦してきました。
厳しく複雑な市場環境の中でも国内外のお客様に選んでいただけるよう、次のステップに向けた取組を進めています。
日々現場において、理想と現実をすり合わせる努力は尽きませんが、本レポート「Bインパクト・レポート」では、認証取得後の2年間の歩みとして、我々の取り組みをまとめました。
国内外のお客様はもとより、広く我々に興味・関心を持ってくださる方々に、弊社の姿勢を見ていただけたらと願っています。
2026年4月1日
株式会社ナイスコーポレーション
代表取締役 井筒伊久磨
会社概要・業務紹介
概要
| 会社名 | 株式会社ナイスコーポレーション Nice Corporation |
| 代表取締役 | 井筒伊久磨 |
| 創業 | 1990年11月 |
| 従業員数 | 42名(※2025年8月現在) |
| 資本金 | 1,000万円 |
| 事業内容 | 被服製造 |
| 月産 | 約6,000本(Gジャンなどトップス含む) |
| 主要取引先 | パタゴニア日本支社、TSIなど |
| 協力会社 | 明和産業株式会社(生地提案) 〒721-0954 広島県福山市卸町 7-6 有限会社カラードキップス(プリント加工) 〒711-0907 岡山県倉敷市児島上の町 1-13-50 ニッセンファクトリー株式会社 (洗い/加工/プリント) 〒711-0907 岡山県倉敷市児島上の町 1-9-11 有限会社SUBJECT(裁断/最終出荷検品所) 〒711-0907 岡山県倉敷市児島下の町 2-1585-1 株式会社ウエルズ(洗い/加工) 〒711-0845 岡山県岡山市南区浜野 4-22-24 |
沿革
| 1990 年 11月 | 有限会社ナイスコーポレーションを設立(資本金300万円) |
| 1993 年 11月 | 有限会社から株式会社へ登記変更(資本金1,000万円) 本社を児島下の町から児島上の町へ移転 |
| 2001 年 | 本社を児島上の町から児島下の町へ移転 |
| 2003 年 | 井筒伊久磨入社 |
| 2008 年 | 児島下の町内にて自社工場を設立 |
| 2013 年 | 裁断設備CAD/CAM導入 |
| 2015 年 | 山口県萩市にて田万川工場を開場 |
| 2018 年 | 別会社(有)SUBJECTを設立、代表に山野辺剛が就任 |
| 2020 年 7月 | 会長に井筒一彦、代表取締役に井筒伊久磨が就任 |
| 2023 年 1月 | オリジナルプロダクトブランド「NC PRODUCTS」開始 |
| 2023 年 4月 | 国内20社目 B Corp認証 |
| 2025 年 5月 | GOTS認証取得 |
ナイスコーポレーションの特徴
地域型ワンストップ生産
企画、パターン作成、裁断、縫製、洗い・加工、プリントから仕上げ・検品・出荷まで、地域内の関連会社と連携することで生産の最初から最後までを総合的に管理できる点が強みです。
信頼と技術
工場間の信頼関係、職場内での信頼関係、お客様との信頼関係のすべてを大切にし、国産ジーンズ発祥の地にて、Made in Kojimaの歴史に基づく熟練の職人技術、そして、次世代のメンバーが発揮する若い視点の両方を備えます。信頼と技術を基盤に、創業以来培ってきた様々な製造に関する知識と技術の蓄積を活かし、お客様のイメージや細かなニュアンスを高いレベルで再現します。
デニムから広がる製造
デニムを扱う製造は全体の約6割です。デニムで培った技術を積極的に応用し、デニムとその他の素材を組み合わせた縫製、そして、トップス等の製造も行っています。
地域の価値を、次世代へつなぐ
児島という地域で培われてきた技術や文化を、未来に残していくことを大切な役割だと考えています。本当に良いものを見極め、つくり手・工場・地域が誇りを持てるものづくりや、分野を超えた取り組みを積み重ねていきます。地域と共に育ててきた価値を、次の世代へ確かなかたちでつなぎます。


Governance:内部統制
経営層と従業員間でのコミュニケーションを促進し、経営指標などの情報開示・従業員の意見の吸い上げを行うことで、第一に社内における情報の透明性を確保することに積極的に取り組んでいます。
keywords:社内情報の開示による、従業員に対しての透明性確保/多様な意見を取り入れ、働きやすい環境を実現/従業員個々に寄り添ったヒアリング体制/GOTS認証の取得
(i)半期ごとの売上内容説明会の実施
半期に一度、インドネシアからの技能実習生を含め、現場の工員も出席の上、売上内容を主とした説明会を実施しています。
今年度は新たにスライドを用いて説明することで、従業員がより直感的に、分かりやすく理解ができる工夫を施しました。
実際に、参加者が顔を上げて海外展示会の写真や経営ビジョンに熱心に耳を傾ける様子が見られました。今後も同様のプレゼンテーション形式での説明会を継続していきたいと考えています。

(ii)外部専門家による従業員との面談
外部の専門家(中小企業診断士/B Corpコンサルタント)を招聘し、個別に従業員との面談を行うことで、直接経営陣に伝えにくい業務上の不安や疑問点の吸い上げと解消に取り組んでいます。
(iii)国際的なオーガニック認証であるGOTS認証の取得
海外展開を本格化させるに当たって、グローバルに認知度と信頼性が高いオーガニック認証である「GOTS = Global Organic Textile Standard」取得に向けた取組を年初から開始し、実地監査を経て無事5月に取得するに至りました。
監査に当たっては、適正な賃金と労働時間、公平な評価といった従業員の人権遵守が重視されますが、B Corpでも問われる満足度調査や面談を通じたボトムアップ型の経営改善の取組が高く評価された印象です。欧州を中心に重視される「人権・環境対応」をグローバルスタンダードとして捉え、今後も継続的に推進していく考えです。

(iv)本社工場を(旧)琴浦西幼稚園へ移転予定
2026年1月、本社工場をリノベーションした(旧)琴浦西幼稚園へ移転予定です。移転を機に、以下の3点を推進します。
1. 生産キャパシティの適切な拡充
2. 従業員が安心して働ける環境整備
3. 志を共にする地域企業と分野を超えた新しい取り組み
元幼稚園という文化的な背景を持つ場所で地域コミュニティとのつながりを深めながら、品質にこだわったものづくりを継続していきます。これらの取り組みを通じて国内外で選ばれる企業を目指します。
Governanceを振り返って
売上財務説明会は、今回からスライドを使ったプレゼン方式での説明に変更したことで、より分かりやすく直感的な理解を従業員に促すことができたように感じます。会社の状況や今後のビジョンを共有することももちろん重要なことですが、何より皆が顔を上げて、同じ方向を向いて話を聞くという時間を共有することで、チームとしての連帯感や責任意識を培っていく機会にしてもらえればと思います。
また、前期の新たな試みとして着手した「GOTS認証」は、アパレル分野に特化した社会・環境認証であり、実地監査が課されることから、事前に多方面の準備を進めました。B Corp取得に向けて整備してきた各種ポリシーや運用の仕組み、ならびにその実践内容を監査員に誠実に説明できたことで高い評価をいただけたのは、これまでの積み上げの成果だと捉えています。今後海外展開を本格化させる中で、B CorpとGOTSという2つの認証の姿勢をグローバルスタンダードに沿った事業運営の基盤として位置づけ、営業活動と内部環境整備の両面で活かしてきたいと思います(山磨)。
前期末の大きなトピックとして、国際的なオーガニック認証であるGOTSを新たに取得しました。B Corpに加えアパレル分野により特化した本認証を取得することは、世界市場で勝負する上で避けては通れないステップだと判断したからです。これからは、これらの認証が有する理念を現場に浸透させていく必要があると思っています。単にルール・基準を守るだけでなく、発信の仕方も含めて、私たちのレベルを外部からの期待に応えられる水準にまで引き上げていかなければなりません。
最近では、社外から前向きな反響やお声がけをいただく機会が増えており、社内にも適切に共有し、次の挑戦につなげていきたいと考えています。また、児島という産地に軸足を置きながらも、アパレル業界の枠を超えて異業種との取り組みを広げることで、現場に新しい刺激と学びを取り込み、従業員がより広い視野を持てる環境を整えていきます。いただいた機会を活かし、現場力の向上を通じて、お客様に提供できる価値へと転換していく方針です(井筒)。
Workers:従業員
従業員の福利厚生の拡大に努めるとともに、仕事の楽しさを高めるためにも、各種研修制度・従業員満足度調査などの取り組みを通じて、従業員の働きやすい環境づくりに取り組んでいます。
keywords:技術継承によるキャリアアップの補助/世代クリエイターとの共同制作による視野の拡充/家族を含めた楽しめる場や学びの場の提供/自主性を育む取り組み/従業員の意見を募り課題を分析・解決に結びつける
(i)社員の増加割合
前期末(2024年4月末)と比べ、
本社工場においては4名
(日本人1名、実習生3名)
田万川工場においては5名
(日本人1名、実習生4名)
新たに入社しました。
従業員数:38名→41名(通年では3名増)


(ii)従業員研修の実施
本社工場においては、若い工員が増えてきたことをきっかけに、量産縫いのラインを担当しつつ、専任のメンターを設置しサンプル縫いに従事させる中で縫製技術を学ぶ初期研修を行っています。
国内外のハイブランドの製造に足る技術を学び縫製の幅を広げるとともに、日頃の悩み相談など、若い工員の生活面にも寄り添う目的でも実施しています。

(iii)次世代クリエイターとの共同制作プロジェクト
新たな取り組みとして、都内のクリエーション校と連携し、同校の10代クリエーターが企画したブランドと一緒にデニム製品を制作するプロジェクトをスタートしました。
本プロジェクトは、縫製現場の若手リーダーを担当に抜擢し、企画に携わる経験を通じて視野を広げてもらう「クロススキルトレーニング」としても位置づけています。若い感性同士で取り組むからこそ生まれる発想を製品づくりに活かしつつ、双方にとって良い成果に繋がるプロジェクトにしていければと考えています。

(iv)福利厚生と、家族を含めた楽しめる場や学びの場の提供
毎朝ラジオ体操を欠かさず行い、業務前に身体をほぐす時間を設けています。またこの際お互いに握手を交わすことで、会社全体で気持ちを一つにし、日々の業務にあたります。季節ごとのお花見会や、従業員の子供も同伴の上での社員旅行など従業員間での親睦を深めるとともに、リフレッシュできる機会を設けるよう努めています。
また、本社工場移転後は、移転先がリノベーションをした(旧)幼稚園であるため、(元)遊戯室を開放することで従業員が親子で遊べるような機会を設けていきたいと考えています。


(v)従業員の業務評価
半期に一度従業員自らが書き込んだ業務評価シートをもとに人事面談を行います。期初には通年目標を各従業員が書き込み、期末に1年間の取組を自ら振り返る、目標の自己管理制度を採り入れ、各従業員の業務遂行における自主性を育む取り組みを行っています。
また前年度から新たな役職として現場にラインリーダー職を設け、初回として工員3名を選出しました。彼らには1つの生産ラインの責任者として、工程管理や後輩の指導など、管理者に求められるスキルを少しずつ身につけていくことを目指しています。

(vi)本社工場移転による働く環境改善(準備中)
2026年1月、本社工場をリノベーションした(旧)琴浦西幼稚園へ移転予定です。移転を機に、従業員がより安心・安全に働ける環境づくりを進めるための設備・制度を準備しています。

(vii)従業員満足度調査の実施
半期に一度、業務上の満足度を集計し、様々な意見や課題を募る目的で「従業員満足度調査」を実施しています。結果はその都度定量・定性分析を行っており、半期に一度の売上財務説明会の場で、従業員に対しその内容を共有しています。
直近2024年10月実施の結果として、本社工場においては、総合的な満足度は80%以上獲得することができました。(※)
(※)総合的な満足度:「満足」以上

経年変化を見ると、「仕事内容が自分に合っている」「社員教育・キャリア開発」「仕事と私生活のバランス」といった項目で数値の改善が見られました。これらの結果から、縫製工員が作業に慣れてきたことに加え、キャリアパス設計などの仕組みづくりが進んだことで、意識面にも変化が表れていると捉えています。
一方で、「企業の成長性」「人間関係」については水準自体は高いものの前年差で低下が見られました。また、「給与水準」は引き続き低迷しているため、要因の把握と改善策の検討を継続していきます。

Workersを振り返って
昨年度に引き続き、B Corpの取組の中で最も重視している項目がWorkersです。理由はシンプルで、縫製業が人手を必要とする労働集約型の産業である以上、今後の人手不足を考えても、従業員の待遇改善を施し、人員の定着と採用の拡大を図っていくことが、企業の持続にとって最も重要な要素だと考えているからです。
前期の取組として、ミシン技能とマネジメント技能の2つの技能を定期的な面談と組み合わせながらそれぞれ評価し、達成度に応じて手当として基本給に積み上げる、人事評価プログラムを本格的に実行に移したことがトピックとして挙げられます。その中で現場管理職であるラインリーダーとして新たに3名が選出されたことは、縫場の自律化に向けた第一歩と考えており、生産ラインの管理や部下の育成に従事することで、役職者に求められる技能を少しずつ身に着けていってほしいと願っています。
またクロススキルトレーニングとして、10代の若い感性が創り出したアパレルブランドの企画業務に現場の縫製工員が参画し、お互いに協力してデニムを作り上げる取組をスタートすることができた点も大きな進歩と捉えています。慣れた職場を離れて、広く新しい世界に触れることで自らの可能性を広げて欲しいですし、そこで培った知見を学びとして縫場に還元することで、組織としての成長に貢献してほしいと思います(山磨)。
都内のクリエーション校に通う10代クリエーターとデニム製品を共創するプロジェクトを進める中で、嬉しい驚きがありました。同じくB Corp認証企業であるアパレル企業のアーチさんのことを、参加しているクリエーター本人がすでに知っており、その流れで私たちの取り組みもスムーズに理解してもらえたのです。若い世代にもB Corpの認知が着実に広がっていることを実感でき、認証企業として心強く、嬉しい出来事でした。
この文脈で、今後は若い世代が長く安心して働ける環境づくりにも、より一層注力していく必要があります。これまでの福利厚生は、家族がいることを前提とした設計が中心だった側面がありますが、今後は単身の方も含め、誰もが「ここで働き続けたい」と感じられる仕組みづくりが求められていると捉えています。多様なライフスタイルを尊重しながら、従業員を孤立させないための企業としてのサポートのあり方を、引き続き検討していきます。
組織面では、前期より縫製現場に「ラインリーダー」を新たに配置しました。私たちが目指すのは、型にはまったリーダー像ではありません。工場の責任を分かち合う一員として、それぞれの強みやスタイルに合ったリーダーシップを育んでいけるよう、自ら考えて動く自主性を大切にしていきたいと考えています。
さらに一歩踏み込み、例えばB Corp認証企業である木村石鹸さんが取り組まれている、自身の給与額を提案する「自主申告給与制度」のような仕組みも、検討に値する選択肢の一つかもしれません。会社が一方的に報酬を決めるのではなく、働き方や価値を自分たちの手で考え、合意形成していく。そうした風通しの良い自律的な組織づくりも、今後の方向性として視野に入れています(井筒)。
Community:多様性・地域社会
地域の事業者と優先的に取引を行うことで、地域の経済振興に寄与するとともに、地元のお祭りなどのイベント参加を通じて、我々が立地する地域の振興に積極的に貢献しています。
keywords:性別、年代、国籍に関係なくキャリアパスを創出/地域の経済活動を支える/独自で定めた社会・環境に配慮したサプライチェーンの実現
(i)多様性・公平性・包摂性
女性従業員数:
30名/全社員42名 71%
女性管理者数:
5名/全管理者7名 71%
年齢分布:
本社工場:20代9名(うち実習生7名)、30代4名、40代6名、60代2名、70代1名 計22名
田万川工場:20代8名(うち実習生8名)、30代3名(うち実習生3名)、40代1名(うち実習生1名)、50代4名、60代4名 計20名
生産現場は女性が中心となって支えており、若い世代から高齢の世代まで、幅広い雇用の場を創出しています。
また技能実習生も、社内旅行やお花見会などの福利厚生の機会には積極的に参加しており、賃金面はもちろん、賞与についても日本人社員と同等、またはそれ以上の待遇を整えています。


(ii)地域との取引
当期において、年間支出の大部分を占める材料費の85%、外注加工費の90%が近隣地域の事業者(※)に支払われており、これは弊社の活動が近隣のサプライヤーを経済的に支える原動力となっていることを意味します。
非労務費(会計年度の総費用から賃金/給与、賃料、光熱費および税金を差し引いて計算)のうち、50%を近隣地域の事業者に支払う、という調達方針を掲げており、今後も引き続き地場の事業者との取引を続け、地域経済の振興に貢献していきます。
※「近隣地域の事業者」:本社所在地から半径80km以内に位置するサプライヤー

(iii)地域活動への貢献
本社工場においては、地域貢献活動として、児島地域の鴻八幡宮・例大祭への参加(人員の派遣、運営費の支援、会社設備の提供)ならびに年末には、取引先ほか関係者を集めた餅つき大会を行いました。これらの取り組みは年中行事として例年行っているものです。

(iv)サプライチェーンマネジメント
取引先に対し、社会・環境配慮の各要望項目をまとめた「サプライヤー行動規範」を独自に定めています。
業界全体で人権デューデリジェンス、サプライチェーンマネジメントの必要性が叫ばれる中、B Corp認証企業として、人権と環境に配慮したサプライチェーンの実現に向け努力を続けていきます。

Communityを振り返って
内容としては前年度と特段の差異はありませんが、ジェンダーを超えて、また、多様な年齢層の方々への雇用の場の創出、デニム産地である児島地域特有の地場経済への振興効果といったナイスコーポレーションの強みが引き続き発揮されている分野だと考えています。今後も事業活動および地場への貢献活動を通じて児島地域に対して何ができるかを考え続けていきます(山磨)。
現在一大プロジェクトとして、近隣の元幼稚園へ本社工場移転を計画しています。地域の思い出が詰まった場所を、ものづくりの現場として再生し、新しい拠点として再出発する。これは大きな責任を伴うことだと感じています。
移転後の工場は、「開かれた場所」にしていきたいと思っています。見学の受け入れも積極的に行い、自社ブランドであるNC PRODUCTSのショップも併設する予定です。私たちのものづくりの現場や思想を、お客様に直接、肌で感じていただける。そんな発信力のある拠点に育てていきたいと考えています。
ゆくゆくは近隣の同業事業者と協力して工場スタンプラリーを企画したり、地域の方々も参加できるバザーを開催したり。児島産地全体を巻き込みながら、誰もがワクワクできるイベントを仕掛けて、地域に活気と笑顔を届けられる場所にしていきたいですね(井筒)。
Environment:地球環境
地球環境に対し、CO2排出量の削減、廃棄物削減を通じて、配慮の取り組みを進めています。
keywords:工場が排出しているCO2排出量の把握と削減/廃棄物を再利用できるものづくりへの転換
(i)CO2排出量
弊社のScope1、2(※1)のCO2排出量に関しては、
Scope1:9.5 t-CO2e
Scope2:63.7 t-CO2e(※2)
との結果となりました。総合的な排出量としては、直近3期を通じて横ばいか微減の傾向が継続しています。
電力に関しては本社工場、田万川工場ともに中国電力の再エネ・グリーンプランを利用しているため、100%再生可能エネルギーでの工場稼働を実現しており、実質的なScope2排出量を0に抑えるよう努力しています。
※1 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
※1 Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
※2 2024年5月〜2025年4月の期間
E-dash株式会社の提供する二酸化炭素排出量計測アプリケーション「e-dash」および山陰合同銀行の提供する二酸化炭素排出量計測アプリケーション「ecoln」を使用

(ⅱ)廃棄物量
廃棄物量に関しては本社工場・田万川工場それぞれにおいて測定を行っており、計測値は以下のようになりました。今後も廃棄物量を把握し、削減できるように努めていきます。

(iii)廃棄物の活用
自社ブランド「NC PRODUCTS」では長く使用できる本質的なプロダクトを展開しています。ベーシックなデニムパンツ製品を展開するベーシックラインでは、裁断クズを17%使用したオリジナルの生地を制作・採用、また着終えた製品は回収し、新たな製品へと再利用する仕組みを実現しています。ラグやクッション製品を展開するパッチワークラインでは、自社工場で排出される残反を用い、長く使用できる製品づくりを行なっています。







Environmentを振り返って
前年度と同様、中国電力が提供する再エネ・グリーンプランの利用を継続しているため、再生可能エネルギー100%での工場稼働を実現しています。今後の課題としては、引き続き裁断後に発生してしまう端切れを回収し、再生生地や製品へのアップサイクルを通じて再利用を図っていくことです。現在はこの裁断業務を他社に委託しているため、協力先に端切れの排出量を計測するよう依頼し、ナイスコーポレーションが排出する事業ごみとしてトラッキングすることで、B Corpとして負っている環境配慮責任を果たしていきたいと考えています(山磨)。
工場から出るゴミをどう減らし、どう再利用していくか。これはB Corp認証企業として、避けて通れないテーマです。ただ、単純に端切れの量を減らせばいいかというと、実は難しい側面もあります。端切れが減るということは、それだけ原材料である生地の使用量が減る。つまり売上にも影響が出てしまうからです。
だからこそ私たちは、端切れを「ただの廃材」にせず、ストーリー性を持った価値へと変えていきたいと考えています。たとえば、端切れをアップサイクルして紙やフェルトに生まれ変わらせる取り組み。単に再利用するだけではなく、そこに至るまでの生産背景や現場の工夫を製品に込めることで、お客様にも納得感を持って手に取っていただけたら嬉しいです。
「作る責任」を果たすのはもちろんのこと。せっかくなら、作る過程で生まれるものすべてを、新たな価値を生み出す手段に変えていきたい。そんなふうに、クリエイティブな循環を現場から生み出していけたらと思っています(井筒)。
Customers:お客様
我々はお客様に提供した価値を計測し、製造品質の改善、ならびに新製品開発に活用しています。
keywords:次世代の視点をものづくりに還元する/B Corpの価値観を協業で広げる/多様な価値観に応える顧客対応力を磨く
(i)次世代クリエイターとの共同制作プロジェクト
新たな取り組みとして、都内のクリエーション校と連携し、同校の10代クリエーターが企画したブランドと共同でデニム製品を制作するプロジェクトを開始しました。量産を目的とした案件ではありませんが、「アイデアを形にする」過程を共にし、未来のクリエイターがものづくりの現場を実践的に学べる機会を提供しています。
本取り組みでは、企画内容を踏まえた仕様整理や縫製設計、試作・フィッティングを通じて、品質や安全性、耐久性といった製品づくりの基礎を丁寧に共有しています。また、若いクリエイターにとっては、縫製業界の実態を知ることが、将来のキャリア形成にも直結します。
私たちにとっても、次世代の視点に触れながら試作を重ねることは、お客様への提案力や技術の引き出しを増やす学びにつながっています。こうした共創の経験を蓄積し、最終的には、お客様に対してより良い品質・より良い企画提案を提供できる体制づくりへと還元していきます。

(ii)B Corp企業とのコラボ
B Corp認証企業である株式会社わざわざの新商品制作に携わっています。同じ価値観(社会・環境への配慮、透明性、誠実な事業運営)を共有する企業同士が協働することで、製品そのものだけでなく、取り組みの背景や意義も含めて社会へ良いインパクトを伝えられると考えています。
今後もB Corp企業との連携を通じて得た学びを、お客様への新しいアイデア創出や品質向上の支援に活かしていきます。
(iii)北欧ブランドとの協業
新たな取り組みとして、北欧のハイブランドに向けたデニム製品の製造を開始しました。様々な海外ブランドとの協働を通じて、求められる品質基準、仕様決定のプロセス、コミュニケーションの取り方など、国内取引とは異なる視点に触れる機会が増えています。
国や文化によって「良い商品」の定義や重視される価値観が異なることを前提に、先方の意図を丁寧に理解したうえで、製造現場に落とし込むことを大切にしています。
今後も、さまざまな国のお客様との取り組みを通じて得た学びを蓄積し、お客様への対応の「引き出し」として社内に共有しながら、より安心して任せていただける製造パートナーを目指していきます。
Customersを振り返って
今期のトピックとして、次世代の10代クリエイターとの共創や、株式会社わざわざさんとの共同開発といった、B Corpを共通言語とした業種を超えた取り組みへの挑戦が挙げられます。現在、国内のB Corp認証企業数は100社の到達を目前に控え、今後さらに多様な業種からの参入が加速していくことが予想されます。その中で、デニム縫製という確かなものづくりの基盤を持ち、ヴィジョンやイメージを、消費者が手に取れる製品へと具現化できる製造業の強みはますます重要な役割を担うようになると考えています。国内縫製業初のB Corp企業として、業界の先陣を切ってコラボレーションを展開することは、単なる売上拡大に留まらず、一般消費者層におけるB Corpの認知度を底上げし、エシカル市場全体を牽引していく意味を持ちます。今後様々な形式の価値共創を通じて、収益基盤の着実な構築と、社会への良いインパクト波及を両立させる先進的事例となることを期待しています(山磨)。
今期は私たちにとって新たな取組へと踏み出す挑戦の1年となりました。異業種のパートナー企業や、次世代を担う学生に向き合い、ものづくりとは何かという根本的な対話から始めました。お互いの認識を揃えるには時間もかかりましたが、丁寧に会話を進めていく中で、一つひとつの取り組みを成熟させることができたと感じています。業界や世代が違っても、「製品を手に取ったお客様に喜んでいただく」というゴールを共有できたことは、私にとっても非常に手応えを感じる瞬間でした。
これからも、共感してくださる方々と一緒に、新しい価値を育てていける会社でありたいと考えています(井筒)。
記事のご紹介
新工場への移転に込めた想いや、これからのものづくりのあり方について、NC PRODUCTSのコラムにてご紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。